「虻蜂取らず」ということわざをご存じでしょうか?
そもそも「虻蜂って何?」というところから気になりますよね。
「虻蜂」とは、それでひとつの昆虫というわけではなく、「虻」と「蜂」です。
虻に刺されたという表現をしますが、実は虻には蜂のような毒針はありません。皮膚を噛みちぎって、出血したところを吸います。噛まれた部分は腫れ、痛かったりかゆかったりしますが、アナフィラキシーショックの危険性はほとんどありません。
今回は「虻蜂取らず」ということわざについて解説したいと思います。
読み方 | あぶはちとらず |
意 味 | 欲張りすぎるとかえって損をすること |
例 文 | 良い例・悪い例を紹介しています |
類義語 | 二兎を追う者は一兎をも得ず 他 |
対義語 | 一石二鳥 他 |
英 文 | Fall between two stools. 他 |
虻蜂取らずとは
一度に二つの物を両方とも得ようとして、結局はどちらも取り逃がしてしまうこと。欲張ってかえって失敗することのたとえ。
クモが虻と蜂をいっぺんに捕えようとして、どちらも逃がしてしまう意から。
用例:あれこれと習い事を増やすのもいいけれど、いい加減にしておかないと、結局は虻蜂取らずということになってしまうよ。
出典:株式会社新星出版社『大きい活字の故事・ことわざ辞典』P77
虻蜂取らずを使った例文「良い例・悪い例」
《良い例》漫画家として成功したい。文章を書くのも好きなので、小説家にもなりたい。そう思って二刀流を目指したが、虻蜂取らずでどちらも中途半端で挫折した。
なにごとも、欲張っては駄目よ
地道な努力を忘れないでね
たまには、何でもこなせる人もいるけど、ほんのわずかよね
《悪い例》虻蜂取らずというが、山に入ったら虻も蜂も捕らえることができた。
単に、本当の虫を捕獲しただけの話だよね?
そうそう。
だから、ことわざの意味としてはおかしいわね
本の中から紹介します
「ストライキ、これは資本家に対して、解雇手当を充分取るための戦術だ。この不景気の際に、手当は充分出すと言うのだから、下手にまごつくと諸君の首も危い。それでは虻蜂取らずだ。この場合、涙をのんでストライキは思い止る方が諸君の為だ。」
出典:青空文庫「組合旗を折る/永崎貢」
虻蜂取らずの類義語4選
二兎を追う者は一兎をも得ず
意味:欲張って一度にふたつのものを狙うと、結果としてどちらも手に入れることができないことのたとえ。
一も取らず二も取らず
意味:ふたつのものを一度に得ようと欲張ると、結局どちらも手に入らなくなることのたとえ。
斎にも非時にも外れる
意味: 「斎」とは僧が午前中に摂る食事。「非時」とは時ならぬ食事の意味で、僧が午後に摂る食事。その両方を食べ損なうというところから、結局なにも得られないということ。
花も折らず実も取らず
意味:欲張って両方取ろうとしても、結局どちらも得られないことのたとえ。
虻蜂取らずの対義語2選
一石二鳥
意味:ひとつの石を投げて、二羽の鳥を打ち落とすということから、ひとつの行為で同時にふたつの利益や成果を得られること。
一挙両得
意味:ひとつの行為でふたつの利益が得られること。また、わずかな労力で多くの利益を得ること。
虻蜂取らずの英文2選
Fall between two stools.
和訳:二つの腰掛けに座ろうとして間に落ちる
単語の説明:fallは落ちる、betweenは間、stoolは腰掛け(丸椅子)のことなので、two stoolsは二つの腰掛けということです。
参考:類義語の「二兎を追う者は一兎をも得ず」も、この表現でOKです。
Between two stools the tail goes to the ground.
和訳:二つの腰掛けの間で尻もちをつく
単語の説明:tailは動物の尻尾で、人でいうところのお尻の部分です。goes toは~に出向く、groundは地面。つまり、お尻が地面に出向く=尻もちをつくといった感じでしょうね。
わたくし、英語はよくわかりません
わからないなりに一生懸命調べて書いていますが、これはおかしいというのがあれば、教えて頂けると幸いです
虻蜂取らずのまとめ
いかがでしたか?
欲を出し過ぎると、結果を得られないことがよくあります。
例えば、野菜の詰め放題でもっと入ると頑張って詰め込んでいたら袋が破れてしまったとか、クレーンゲームでひとつの商品を手に入れ、もっと取れるのではないかとやっていたら、結局何千円も使ってしまったとか。
日常生活に、虻蜂取らずな場面はたくさんあります。
良かったら皆さんの体験も教えてください。
それでは、今回のポイントをまとめてみましょう。
- 虻蜂取らずとは、欲張りすぎるとかえって損をすることです。
- 欲張り過ぎて、結局なにも得られないというような場面に使うと良いでしょう。
- 虻蜂取らずの類義語・対義語・英文もいっしょに覚えましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。